コラム

hummingbird No.32 軽やかに新しく

このコラムを始めて3回目の新年を迎えました。2025年、巳年。
巳年とは、”再生と変革”などと言われ、蛇が皮を脱ぎ捨て新しい姿へと生まれ変わるように、古い価値観や習慣を手放し新しい自分へと生まれ変わるチャンス、という考えもあるようです。”古い価値観や習慣”と簡単に言われても、自分ではなかなか気づけないもの。改めて考えると、時代の変化のスピードが猛烈で日々自分をアップデートしないとうっかり化石になっていること多いので、結構頑張ってリニューアルしてきているなぁとしみじみ感じるのですが、皆さんはいかがでしょうか?
古い価値観、このコラムで強いて言うならば「物質主義」かもしれません。
※写真は今年の初日の出です。

年が明けて皆さんはこの一年をどんな年にしたいか、どんな自分で在りたいか明確にしていますか?
2年前にも書いていますが、頭の中で考えるだけでなく、紙に書き出して定期的に見返したり、誰かに宣言すると叶いやすいと思うのでオススメです。私は今年、家族に宣言したり、逆に聞き出したりしています。息子とは寝る前に手帳時間を作り、今日一日を振り返っての感想と、明日の自分へのメッセージを書いています。息子は簡単な一言で。私自身は具体的なことを書き出しています。例えば娘のお弁当に入れる内容、時には手順まで。これをしておくと目標時間内にきちんと作ることができるのですが、疲れて書くのが面倒だから頭の中で「アレとアレとあれでいいや」なんてぼんやり考えて寝てしまうと、段取りが悪く時間がかかってしまったり、出来上がりがイマイチだったりします。そんな日もあってOK!としているのですが、何事においても『準備』が鍵であることは多くの体験で身に染みているので今年は意識して時間をとるようにしています。

さて、先日息子が学校の社会科見学で中央防波堤埋立処分場そなエリア東京に行きました。
そなエリア東京は防災館巡りをした時に一緒に行ったことがありましたが埋め立て処分場は初めてで、持ち帰ったしおりにはびっしりとメモが書いてあり、10歳の心には大きな衝撃だったようでした。
特に、分別を手作業でしているところでは「すごく大変、自分じゃ面倒くさくて2個くらいでやめちゃうと思う。本当にありがたい」「仕事している人も少ない、人が足りない」という感想が。
大量のゴミを目の当たりにし、このままではいけないという想いも生まれ「自分たちが変わらないと世界は変わらない」と書いていました。
具体的にどう変わったらよいと思うのか訊ねると「ごみを減らすしかない。その為には無駄な買い物をしない。持っているものを大切にする。ゴミの分別はきちんとする。」との答えでした。

そう思っても、実際に物が溢れる現代社会の中で日々過ごしていると、大人でもなかなか難しいものです。持続可能という意味で考えるならば「意識して可能な限り取り組む」くらいの気持ちから始めることが重要になってきます。私自身の経験を振り返ると、ゴミを減らすことを意識するようになったきっかけは以前も紹介した「ゼロ・ウェイスト・ホーム」という本に出合ったことでした。自分に出来ることから始め、着々と暮らしを変化させていました。コロナのステイホーム期にゴミの多い街中が静かになり空気もなんだかとても清々しく感じられた、のも束の間、人々が動き出すとあっという間にマスクゴミが景色と一体化していき、久しぶりにデパ地下へ行くと買い物の度にビニル袋に包まれる、過剰包装が通常運転という状況に心が追いつけなかったことを思い出します。決意したことは実行できるのが素晴らしいけれど、出来ないことが「ダメ」とするのは自分も人も傷つけてしまうものです。

「まぁいっか」は時にはあっても良しで「もういいや」にはならないように。
このコラムの最初に紹介したハチドリのお話。たった一人でも、自分に出来ることをする、続ける。
私自身も気弱になることがあるのですが、今回息子の経験と感想にまた背中を押され、その気持ちは大切に持ち続けていたいです。程よい軽やかさで。
息子が感じた「ごみを減らしていく」ことへの具体策は、初めに触れた古い価値観”物質主義”を手放していくことにもつながっています。今年どんな自分で在りたいか、巳年ならではの視点でもう少し書き足せそうです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。