秩父盆地は一辺が12kmの正方形に近い形の盆地です。多く紹介される特長には河岸段丘があります。盆地の中の荒川に沿ってある段差は河川の作用によるものとして河成段丘と呼ぶのが適当とも言われています。
盆地西側にある秩父ミューズパークあたりは長尾根と呼ばれていますが、文字通りの長い尾根は平な地形になっています。尾根なのに平なのは一帯が約50万年前には川原だったからで、秩父盆地では一番古い時代の段丘です。秩父盆地の河成段丘はこの長尾根(尾田蒔丘陵)の高位段丘から市街中心部のおよそ9段に分かれた低位段丘群に至るまで段丘、坂、段丘、坂と多く見られます。
秩父盆地では硬い地層の三峰口駅(秩父市荒川白久)あたりから上流側は川の流れに削られてV字谷となり、下流側は古秩父湾の時代に海底に堆積した軟らかい地層が広く削られて河成段丘が形成されました。
現場の標高は市街中心部(低位段丘)と同程度ですが、尾田蒔丘陵(高位段丘)、その北部の中位段丘とも近く、また荒川河川敷から直線距離200m、標高差170mの位置にあり一帯に高低差を感じる場所です。主要地方道秩父児玉線は現場近くの国道299号との交差点を起点とし、本庄市国道254号との交差点を終点とする県道です。
工事は荒川に沿って走る道路の間地ブロック擁壁の前面にコンクリートで補強するものでした。既設の擁壁にボーリングして水抜きパイプを設置、下地処理のコンクリートはつりの後にコクリート打設するものです。
擁壁は法長平均が約 8.5mの高さ、延長 38.1m。現場の上には民家があり、その上をまた道路が走るという地形です。地震の話題の多い昨今、上の段で生活する方は庭先から新たに補強された擁壁と見下ろしながら「これで少しは安心度が上がる」とお話しされていました。
工事名 : 災害防除工事(寺尾2工区)
工事場所 : 主要地方道秩父児玉線 秩父市寺尾地内