施工事例

2022年5月 - 災害防除工事(大黒工区)

秩父市中津川には「秩父鉱山」があり、かつて鉄、亜鉛、銅、鉛、金などを採掘していました。地下から上昇したマグマが主に石灰岩と反応してできた鉱床を「スカルン鉱床」といいますが、その生成の過程で複雑な変質、変成作用が起こったため、140種類もの鉱物を産出しました。この鉱物種の多さは世界的にも珍しいものです。(秩父地域おもてなし観光公社HPより)
1600年代から金や砂金の採掘がはじまったといわれ、江戸時代には平賀源内も一攫千金を夢見てこの地に入り「源内居」とよばれる建物が残っています。江戸時代の金・銀、明治時代の鉄鉱石、昭和には鉄・銅・鉛・亜鉛などの多種類の鉱物を産出して鉱山町として活況を呈し、2500人とも3000人以上ともいわれる人々が教育や医療、娯楽施設も整った環境の中で過ごしていました。
慶長年間のからはじまった鉱山の人口は現在数十人となりましたが、現在も関東有数の高品質の結晶質石灰石を供給しています。

中津川の冬は寒く、雪が降れば長く残ります。本工事は秋から冬を越し、壁面からの湧水が凍結するなどの厳しい条件のなかで難しい作業が続きました。オーバーハングする岩壁での作業では危険性低減の対策、モルタル吹き付け時の硬化時間短縮の対策の対策と的確な工事が求められました。
また現場には酸性を含む地下水の湧出があり、架設されるポケット式ロックネットの通常の亜鉛メッキでは酸化による劣化が懸念されるために特殊なコーティングが施された金網、ロープ、支柱などが使用されています。
厳しい条件での工事は同時に危険性も大きくなります。一つひとつの工程全てが命がけとなりますので、ひとたび作業が始まれば現場は緊張した雰囲気となります。
「一般県道中津川三峰口停車場線」。渓流の水が冷たい早春から釣りファンが、そして秋には紅葉の名所として大変多くの車が往来する自然美の極みを楽しめる道路です。


工事名  : 災害防除工事(大黒工区)
工事場所 : 一般県道 中津川三峰口停車場線/秩父市中津川地内
工事期間 : 2021年6月-2022年5月