歩道内の側溝の蓋には長円形の通水孔があり、歩行者の足元の安全や物の側溝内への落下を防ぐために樹脂製のカバーがはめ込まれています。しかし、時間の経過とともにそれが外れたりずれたりするようになり、また蓋の劣化もみられました。本工事の蓋の架け換えはこれらを解決するものです。
国道140号の交通量は多く、車道からの圧力を受ける側溝は施工当初より狭くなって蓋は容易には外れません。場所によって1枚が1m程度のものや1枚で数mのものもあり、施工当時の工夫や苦心も見てとれます。
設計ではバックホウによって蓋を破砕、撤去の後に新たな蓋を据える手順となっています。交換用の蓋は荷重条件によって車両用と歩行者用2種類が用意されました。側溝には必ずしも一定のサイズの蓋だけで収まることはなく、現場内での切断調整、蓋がかかる部分の高さ調整等によって設置後の安定が図られています。
この側溝は工事区間の端部近くで国道の下を横断する形で国道の下り車線側の堀へと続き、さらに大きな沢に合流します。付近の人びとが「ぼかぼか沢」と呼ぶ沢の水は荒川水系の横瀬川へと流れ込みます。沢は平成17年に国から秩父市へ譲渡され、現在は「水路敷」として管理されています。
工区内の側溝から水流の大半がほぼ直角に曲がってぼかぼか沢へ流れ込む構造になっていて、そのまま真直ぐ続く側溝は半分ほどまでに小さくなります。
分岐点には今では使われていない角落しの枠が、その先にも角落しの跡があります。田畑が続き、農業用水の流量調整が必要だった50年ほど前の名残です。
現場の歩道を通行する地元の人びとは、施工前には通水孔を気にしながら歩かなければならず、自転車は通水孔むき出しの部分に気を遣わなければなりませんでした。施工後の、軽い足取り、軽快なペダリングで安心して通行する歩行者や自転車の光景が本工事の成果です。
工事名 : 道路環境整備工事(大野原工区)
工事場所 : 秩父市大野原地内
工事期間 : 2021年11月-2022年3月