コラム

hummingbird No.6 足るを知る

さて、今年もいよいよ師走を迎えます。師走となると毎年慌ただしく時が流れ、気づけばクリスマスを過ぎ、バタバタと仕事納めをして、大掃除…あ!年賀状!!なんていう方もいらっしゃるのでは?
今回は少しでもゆったりと年越しを迎えられる一つの提案を。
「大掃除」を分散する発想、つまり「小掃除」を定期的にしておくと「大掃除」とまでいかずとも、気持ちの良い年越しができる、ということなのですが、そこに至る前にまず大前提として「持ち数を減らす」ということがあります。
これがとてもおススメです。

「断捨離」とか「ミニマリスト」などという言葉は耳にされたことがあるかと思います。思い切って断捨離された方もいらっしゃるかもしれません。
「ミニマリスト」は、本当に必要なものだけを手元に残すライフスタイルです。
少し話が逸れますが、私は「断捨離」という言葉はしっくりこなく、「感謝離」と思っています。
この言葉は、ある日、実家の母から送られてきた新聞記事(読者投稿)に載っていた言葉です。長年連れ添った大切な家族を亡くした投稿者は、遺されたものに手を付けられずにいたのですが、ある日「感謝とともに手放す」ことを決意する、それを「感謝離」と書いておられました。共感と感動で私は以来「捨てる」とか「断捨離」という言葉を「感謝離」に変え心を込めるようになりました。

持ち数を減らす=本当に必要なものを見極め、それを手元に残す
この「見極める」作業で自分のことがより一層わかってきます。その時、手放すと決めたものはリサイクルできるか、お譲りできるか、「活かす」ことをまず考えたいです。ここでまた大切になってくるのは、今後の買い物についてです。
本当に必要なのか(無くては困るもの?)、そして手に入れたらそれを大切に丁寧に扱い、出来る限り長く付き合っていく心を持ちたいです。
持ち数が減り、家の中がすっきりすることで掃除がぐんと楽になります。
物が多いだけで、それをどかす・そこに溜まった埃をとるなどの作業が生まれますが、その有ると無しでは労力も時間もだいぶ変わってくることは容易に想像できます。
また、物を減らす考えがないと、それらをしまう収納場所・購入費用、物によっては維持費も必要になります。

私は以前、収集癖がありました。小学生の頃はシールやらレターセットなど文房具は気に入ったものを集めて満足、それは大事に使うので「物持ちがよい」ところもありますが、溜められたシールたちは子供たちに引き継がれてもなおまだ過分にあるという有様です。
そんな性格が少しずつ潔さやスッキリの心地よさを知ることですっかり思考が切り替わり、今では「足るを知る」を胸に、今ある物・環境にまず感謝を、そして余白に美を感じる和の心を大切にしたい想いが高まっています。
現代の麻痺した大量消費生活を考えるとき、「足りなくても良し」とする精神が必要なのでは?と感じます。
遊牧民の暮らしに触れると価値観は大きく変わるかもしれません、今や日本でも多い「バンライフ」もそうでしょうか。

そしてこのことは実は地球にやさしい暮らしとつながっています。
私たちは何も持たずに生まれてくるのに、ずい分多くを残して去っていくものですね。
残すのならば、先の未来を生きる命たちが苦しむことのない環境であったらと願います。
「大掃除」から日々の「少しずつ見直し・整える」ことに変化することで、家も心もゆとりが生まれます。まずはいつも気になっている「あの場所」があればそこから早速向き合ってみるのはいかがでしょうか?
私は普段手の届かない高い場所の煤祓いを今の時期から少しずつ取り掛かっています。