神無月
旧暦10月、全国から八百万の神々が出雲大社に集まり、神議(かみはか)りをする、という言い伝えは平安時代に生まれたそうです。出雲地方ではこの時「神在月かみありづき」と呼ばれるわけですが、とは言え、神様が留守になるわけではなく、全国的に秋祭りが執り行われるときでもありますね。私の住む地域でも、久しぶりに法被姿でお神輿を担ぐ姿が見られ、神社ではちょうど祝詞をささげているところに立ち会うことができ、豊かな実りへの感謝もひとしおとなりました。
さて、10月は食品ロス削減月間、10月30日は「食品ロス削減の日」なのですが、意識されたことはありますか?食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品のことを指します。日本では年間約600万t発生しており、それは毎日大型10tトラック約1760台分の食品を廃棄している計算です。そしてそのうち約半分は家庭から発生しています。日本人一人当たりに換算すると年間約50kg、毎日お茶碗約1杯分(約140g)の食べ物を捨てている計算になります。([消費者庁]HPより)
これを想像するとハッしませんか?
廃棄理由としては①食べきれなかった②傷ませてしまった③期限切れ となっています。(私も身に覚えが・・・)。そこで今回は、食とSDGsについて考えてみました。
食品ロスの問題は「もったいない」だけで終わらないのが大きな問題です。
廃棄された食品は、焼却される場合大量のCO₂が発生します。その食品が水分を含んで燃えにくいとしたら更に多くのエネルギーが必要となり、埋め立てればメタンガスが発生する、(メタンはCO₂の25倍以上もの温室効果があります!)つまり気候変動の大きな要因の一つなのです。と、ここで是非思い出していただきたいのがコラムNo2でご紹介した「堆肥化:コンポスト」です。
食材を買う時には、今あるものの確認、使いきれる分だけ買う(←お財布にも優しい!)作るときには、作りすぎない工夫、食材を最大限に活用するエコクッキングやベジブロス(野菜のヘタや皮部分をダシに)
余った食品はリメイクしてみる、など家庭でできることは様々見つかりますが、更に一歩踏み込んで「コンポスト」、そこまでできなくても、生ごみは新聞紙に包むなどして「水分をしっかり切る」、または「乾燥させる」といったことも大きな変化につながります。もし今後食べ残しをそのままゴミ袋に入れそうになった時に「そういえばアルバイトが何かつぶやいていたな」と頭をよぎっていただけるだけでも…。
ちなみにフランスでは「食品廃棄禁止法」というものがあり、食べられる食品の廃棄は罰金対象ですし、デンマークでは賞味期限切れや規格外などの食品を扱い、通常の約30~50%引きで販売している食品ロス専門スーパーがあったり(2016年にオープンし今では他国にも広まっています)、欧州で始まった「公共冷蔵庫」 は日本でも神奈川県に始まり埼玉は草加市でも取り組んでいます。こちらは食品ロスだけでなく、貧困・飢餓救済が根底にあります。私も期限内のもので使いきれない判断をした時は「フードドライブ」(家庭で余っている食品等を持ち寄り、広く地域の福祉団体や施設等に提供するボランティア活動)しています。
必要としている人のところで活かしてもらえる、循環ですね。探してみると様々な取り組みがあり、私たちに出来ることは沢山あるのだ、と教えてもらいます。
これほどの廃棄量がある一方で、世界の飢餓人口は約8億人。
日本の食料自給率の低さ、食料システムの問題。
農地開拓のための森林伐採による生態系や温暖化への影響。温暖化による農作物への影響など悪循環は果てしないようですが、世界の現状を見つめて、感謝をもって人間だけではない多くの種の生命を大切につないでいくことで好循環へとシフトしていくものと信じています。
そうして活動している人たちが多くいることに背中を押され、また「わたしにできること」を一つずつ積み重ねていきます。
この機会に日常の「食」の見えない部分に思いを馳せて豊かな恵みに感謝し、家族で出来ることを見直してみようと思います。