2024年辰年師走は新月から始まり新月で終わります。新月は古来”始まり”や”リセット”の象徴とされてきました。新月の日に種まきをするとその芽はよく育つ、ということを聞いてから実践していますが、本当に立派に育つので、種まきだけでなく何かをスタートさせる時は新月の日に合わせることを意識しています。冬至が過ぎ陽の気が少しずつ増えてきて、新月に決意を新たにし、初日の出を迎える。とてもワクワクする流れだと思い、このチャンスはしっかり活かそうと思っています。どう活かすかというと、新月の日には不要な物事をしっかり手放しておき、どんな自分に向かって新たなスタートを切るのかを明確に意図してノートに書き出します。どんな理想も頭の中でぼんやり思い描くより、書いて可視化することでより実現しやすくなることは実感しているのでおススメです。2025年をどんな時にしたいか、種まきの前の土を耕す頃のようなイメージで残りの数日を大切に過ごしたいと思っています。
この季節になると必ず欲しくなるものがあります。竹ぼうきです。
そんなのすぐ買えるだろう、と思われるかもしれませんが、実は私は本当に買いたいと思うものこそ、なかなか買えない病なのです。特に和の伝統工芸品などは何年もかかります。調べ出すと益々何年もかかってしまい、昨年の冬は江戸帚の老舗『白木屋傳兵衛』さんまで足を運び、実物を目の前にさらに悩んでしまい、そして未だに「あの竹ぼうきならこの葉っぱもあっという間に美しく掃きあげられるだろうなぁ」などと思いながらまた落ち葉のころは終盤となっております。来年は間違いなくお気に入りを手に華麗に落ち葉掃きを満喫していることを宣言いたします。
皆さんの地域は可燃ごみの出し方はどのようなスタイルでしょうか?
実家を見る限りでは、何世帯かがゴミステーションを共有しているというのが多いかと思いますが。私の住んでいる地域では、ゴミステーションは無く、通りに面した住宅は透明か半透明の袋に入れて家の前に出して置きます。一時期それをカラスが常に狙っていて、驚くほど巧みに生ごみを口ばしでつまみ出して持っていくという状態が続き、通りは破けた袋と散らばった中身で大層荒れていました。徐々に袋を覆うネットなどで工夫する家庭が増え、カラスのパトロールも落ち着いていたのですが、最近また人間の方がいい加減になってきたのか賢いカラスの厳しいチェックが入り、ゴミが散乱している個所が目立っていました。”袋に詰めて外に出せば誰かが持って行ってくれる”位の気持ちかと思いますが、まずは自治体の決められた分別、出し方を厳守することや、収集してくださる方々への配慮など、それはこの地球に住む一員として最低限のマナーかなと私は思っています。
さて、今年最後のコラムは2冊の本の紹介で締めたいと思います。
どちらも30年近く、そしてそれ以上前に書かれた作品です。
『ワンプのほし』 ビル・ピート作絵 (1985年 佼成出版社)
子供向けの絵本です。ビルピート氏は脚本家としてウォルト・ディズニー・カンパニーに所属し多くの作品を残され、退社後に絵本作家となりました。
この絵本は、ワンプたちの住む平和で美しいほしに、ある日突然バッチィ星からバッチィ人達がやってきて占領してしまう。バッチィ人達はかつての住んだ星と同じように好き勝手し放題にほしを荒らし(自然破壊)、やがてこのほしにも住めなくなることがわかるとまた別の星を見つけて去っていく。その間地底に隠れていたワンプたちは、変わり果てた様子に驚きぽかんとする。ほんのわずかに残っていた緑をみつけ喜び再び生きる希望がわく。
『時が経てば緑の草や木も、残骸の割れ目から命の芽を吹きだすことでしょう。
けれども、破壊しつくしたあの美しいワンプのほしは、もはや再び昔に帰ることはないのです…。』
『21世紀の君たちへ ガラスの地球を救え』 手塚治虫著 (1996年 光文社知恵の森文庫)
漫画家手塚治虫氏の幼少の思い出、自らの漫画、未来の子供たちへの想いなど熱いメッセージが詰め込まれています。未完のまま急逝されたため、テレビや雑誌などでの発言やほかの原稿の一部が加えられたものだそうです。
『僕たちが子供の頃に駆け回った野山、林をふきわたる風の音、小川に群れていた魚たち、どこにでもいた昆虫、そして無造作なほど咲き誇っていた草花ー。今は失われてしまったそれらは、しかし、決して取り戻せないわけではないのです。その気にさえなれば、今ならまだ間に合うのです。たとえ、すべては戻ってこないとしても、少なくとも今宵の月、明日の青空だけは、もう失いたくありません。』
2024年元旦に起きたこと、そして今もまだ大変な状況があること、私たちはそこから何かを学べているでしょうか?手塚氏は最後の章で『宇宙からの眼差しを持て』と伝えています。
日常に追われていると、目の前に起きることと向き合うだけで精いっぱい、毎日が流されるように過ぎていく。平凡な毎日は平和なことかもしれない。しかし今の私はそこに少しでも『+私に出来ること』を増やしていきたいと思っています。この目に映るだけの狭い視野で終えることなく、物事を一点で見るのでもなく多角的に、そしてもっと高いところから、宇宙から。その視点を想像してみると世界はまるで違い、人間の、自分の高慢さが痛いほどみえ、ハッとし、その先どんな自分で在りたいか。そして動ける人でありたい。
この一年も本当にお疲れさまでございました。がんばるご自身の心も身体もしっかり労わりご自愛くださいませ。来年はさらに良い一年に。また来年もよろしくお願いいたします。