施工事例

2022年3月 - 太田部橋補修工事(秩父市)

太田部橋が架かる県境の神流川右岸側は秩父市、左岸側が群馬県藤岡市で、本橋は秩父市が管理しています。現地は山間深く、秩父市吉田太田部は旧吉田町に属して、上流側に埼玉県選定重要遺跡の太田部塚山古墳群、下流側には城峰公園といった自然豊かな環境にあります。
太田部の楢尾地区に今では無人となった集落があります。小林公一さん、ムツさん夫婦は150年ほど前から畑を耕し、炭を焼きながら過ごした代々の暮らしを自分たちの代で終わりにしようと決め、夫婦で1万本を超える花や木を植えてきました。
「長年お世話になってきた畑をそのまま放っておくのは申し訳ない。せめて花を咲かせて山に返したい。そうしたら安気できる。」
そんな様子がNHKで放送され、映画化された後、心うたれた人たちが主のいなくなったムツさんの家周りを手入れし、遠方からも多く人々が訪れます。

映像でご紹介するのは「橋梁用防護柵嵩上げ工事」です。
太田部橋は神流湖(下久保ダム)最上流部にあり、昭和43年に建設されました。橋長は134m、幅員3.8mの吊り橋です。
現在の防護柵設置基準で「歩行者自転車用柵を兼用した場合の防護柵の高さ」は路面より1.1mが標準となっています。旧基準によった本橋防護柵はこの基準に合わず、既設の防護柵を嵩上げする設計になっています。嵩上げ前の工程として防護柵最上段部分のケレン(塗膜処理)、防錆塗装、後に付属物として嵩上げ材を設置しました。
昭和40年代に製造された塩化ゴム系の塗料には可塑剤としてPCBが使用されたものがあり、本工事ではケレンの工程で旧塗装に基準値以上のPCBが確認されました。防護服と装置を着用しての下地処理、架台設置から最上段部の取付けと工程が進みました。


工事名:太田部橋補修工事
工事場所:秩父市吉田太田部地内
工事期間:2021年8月-2022年3月